【her 世界でひとつの彼女】「彼女は黒と白ではなくグレーも言える」

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【おすすめ度】

★★★(評価3)

 

 

 

 

【こんな人におすすめ!】

  • SFすき!
  • メッセージ性が高い作品がみたい!
  • おしゃれな映画がみたい!

 

 

 

 

 

 

【あらすじ】

そう遠くない近未来のロサンゼルスでのお話

セオドア・トゥオンブリー(ホアキン・フェニックス)彼の仕事は、手紙を代わりに書く代筆ライター。元妻キャサリンルーニー・マーラ)と別れて落ち込み、人生での生き甲斐をなくしていた。

そんなある日、セオドアは自身の事をサマンサ(スカーレット・ヨハンソンと名乗る人工知能OSを手に入れる。

AIである彼女に最初は落ち着かなかったセオドアだが、どこか人間味のある彼女に対してセオドアは惹かれていく。

 

 

 

 

 

 

 

【声だけの演技で最優秀女優賞】

賛否両論あるみたいですが全体的には高い評価です。

映画批評サイトRotten Tomatoesでは批評家支持率は94%、平均点は10満点中8.5点と高評価

そして数々の賞も受賞。

 

第8回ローマ映画祭において、スカーレット・ヨハンソンが最優秀女優賞を受賞。

第85回ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞において、作品賞と監督賞を受賞。

第86回アカデミー賞では作品賞を含む5部門にノミネートされ、ジョーンズが脚本賞を受賞。

 

特にAIという実体がない役を声だけで演じたスカーレット・ヨハンソンの演技力には高い評価が集ったようです。

実際、声だけにも関わらず彼女の存在感、表情がひしひし伝わる演技でした!!

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【今作の本当のメッセージ】

スパイク・ジョーンズ監督が本当に伝えたかったのはただ単にAIと人間の変わった恋愛ではなく

その裏に隠れている人間の本心だったり、恐怖や嫉妬をリアルに描いている作品でした。

 

 

人工知能と人間の恋愛ってだけでかなり面白い内容かもしれませんが

そこで発生している様々なキャラクターの様々な感情がリアルで人間味あふれるもので

「欲」というものの深さを再認識しました。

 

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サマンサが他のAIと自分の見えない所で話していて嫉妬するセアドア。

セオドアのデートが失敗した事を喜ぶサマンサ。

 

当たり前の感情なのですが、その感情を抱く、相手や抱いているキャラクターが特殊なものなので

余計に人間の感情らしさというものがグッと伝わってきます。

 

 

 

 

【世界観がおしゃれ】

 

劇中の衣装がおしゃれ!

 

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着用しているアイテムは奇抜でもないし、未来服というものでは無いのですが

 

レトロでもありながら、背景の近未来の町並みと全然違和感なく

独特な世界観が感じられました。

 

 

音声認識でメールを読んでくれたり、手紙を書いてくれたり

言葉一つで誰かに即、繋がる世界。

 

 

今は2019年。

 

そう遠くない、本当にこのような便利な世の中になるでしょうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここからネタバレあり!!↓↓

 

 

 

 

 

 

 

【観ている自分も人間だからこそ突き刺さるクライマックス】

人間のように、当たり前にケンカをして仲直りをしての繰り返していたセオドアとサマンサ。

ただどんどんお互いの違いに関係がギクシャクしていきます。

 

サマンサはAIです。セオドアが求めれば求める程理想の彼女になります。これは必然。

セオドアもそんな彼女に惹かれて、元妻キャサリンとの離婚にようやく踏み込みます。

 

セオドアとキャサリンは久しぶりに再会し、お互いようやく離婚届にサインします。

ただそこで最後にキャサリンに皮肉を言われるセオドア。

キャサリンを求めていたのではなく、自分の中の理想の彼女を求めていたと皮肉を言われ彼は混乱する。

 

落ち込む彼にサマンサは、身体が無い自分の代わりにセックスをする女性イザベラ(ポーシャ・ダブルでイ)を彼の元へ連れてきます。

このセオドアへの行動が彼のサマンサへの心のズレに拍車をかけます。

 

しかしセオドアはサマンサを愛していた。

 

 

そんなある日、いつも通りにサマンサに話しかけると、応答がなくなります。

確認するとサマンサのOSが無くなっていた事に気付くセオドア。

 

必死に何度も呼びかけを続けているとOSが復活し、サマンサが戻ってきました。

 

 

 

違和感を感じたセオドアは彼女に問いました。

 

「私以外にも繋がっているのか?」

 

 

 

サマンサは言葉に迷ったが「YES」と応える。

 

心を落ち着かせながらセオドアはさらに問う。

 

「恋人としての関係しているのは何人だ?」

 

 

 

彼女は答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「600人」と。

 

 

 

 

 

 

 

 

もうこの言葉でセオドアは勿論ですが、観ているこちらも胸が苦しくなりました。

 

あれだけ愛していた相手なのに、これが現実。

OSとして色々な人間に使用されている中、考えられることなのに現実を目の当たりにすると

心がぎゅっとなりました……

 

 

ただこれはセオドア自身が彼女の事を愛し続けると覚悟して

彼女に対して自分の想いを打ち明けたことによって起こった彼女の変化によるものでした。

 

 

OSは言わばポジティブの塊です。

自身の成長の為に色々なことを吸収します。

 

これが彼らの終わりのはじまりになりました。

 

 

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【まとめ】

恋愛って人それぞれです。

異性や同性もあれば人間とAIのような恋愛もある。

現代社会において今後、今作のような恋愛が現実のものになる日もそう遠くないかもしれません。

 

 

「her」を観てつくづく感じましたが…

 

人間てオモシロ!!でした。

 

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人間とAIが交わり、より人間というものが浮き彫りになり、深く考えさせられる作品でした。

 

 

 

【作品情報】

 

監督:スパイク・ジョーンズ

脚本:スパイク・ジョーンズ

製作:ミーガン・エリソン

出演:ホアキン・フェニックス エイミー・アダムス

音楽:アーケイド・ファイア